弁済
車上荒らし事件の続き。
犯人についている国選弁護士さんから連絡が欲しい旨留守電があったので電話した。
弁済したい(というか”させたい”)、ついては額の相談を・・・という内容だった。
当初は、あちらの家族が直接会って、謝罪&弁済を考えていたようだが、断ると郵便で送りましょうかと提案された。
戻ってこなかった現金や物の金額、修理他に掛かった金額を素で計上すると、それなりの額になるのだけれど、仮にこちらが申告した額のお金が全額手元にやってきても、持て余してしまいそうだった。それで飲み食いしたいとも、遊びたいとも、銀行に預けたいとも思えない。失ったものの中には、日々使用していた必需品である眼鏡とか学生時代から愛用していて仕事でも使っていた電卓とか、実際の金額は小さいけれど、換算できない「何か」を持っているものが沢山あったのだ。事件後、私はそれらを全て早急に買い直した。子供の頃は、理由に関係なく新品を手にするのはとても嬉しかったけれど、全然そんな気持ちにはなれなかった。
うまく言葉にできなくて、受話器を耳に当てたまま困っているうちに、弁護士さんは額を提示してきたり、色々と説得を試みたりしてきた。
言葉に詰まったら交代してもらおうと、そばにダンナに控えてもらっていて、時折筆談しながら電話していたのが幸いだった。私の困っている様子を見た彼が、あることを紙に書いた。あ、それがいい。
私に弁済しようとした額を、どこかの福祉施設かボランティア団体へ寄付して欲しいとお願いした。弁護士さんは、それもいいですね、そう伝えますと約束してくれた。どこかで、そのお金が役に立ってくれますように。
でも、一番の願いは、今回のことを十分に反省して、二度と同じことをしないで欲しいということ。同じ悲しい想いに遭う人が、一人でも減るように。