ねこの日々 - ブログ版

趣味のフルートのことや愛猫のことを、たま〜に呟きます。

音楽療法講座に参加

昨日、本日と音楽療法公開講座に参加した。今年の2月と3月に開講した概論の続編となる2日間の講座・・・とはいえ、今回も7割程度は初受講者だったので、内容が被りますと最初に断りがついた。時間は夜7時から1時間半。職場を定時で早々に引き揚げて行かないと間に合わないのが少々苦労する点である。


前回は認知症(老人)、自閉症児と広く話題を取り扱ったのに対して、今回は「認知症のケアにおける音楽療法」にテーマが絞られた。昨日説明された話は、前回聞いたものと(レジュメも)ほぼ同じだったけれど、それでも最新知見の加わった話は興味深かった。


音楽を(できれば対象とする方のなじみの(好きな))曲を掛けると、動きがスムーズになったり、逆に落ち着いたりと、ケアする側からも好ましい方向へと行動が変化するらしい。例えば

  • 食事中に音楽をかけると食が進む
  • 入浴を嫌がる方に、その30分位前から音楽を掛けると、極端に大騒ぎすることなく入浴するようになる
  • 徘徊癖のある方に音楽を聞かせると(グループセッションなどで)、その間はそこにいることが出来る。毎日10km以上歩く方がいるそうなのだけれど、10km/日よりも歩くと骨密度が減ってしまうため、歩行量をほどほどに抑える手段として(10km/日以下だと骨密度は増えるらしい)。


音楽に合わせて動いたり歌ったりというセッションで、身体機能の活性化を図るのは勿論だ。音楽に合わせて身体を動かす。身体を動かしながらだと声を出しやすい。息を吸うよりも吐くことの方が大切なのだそうだ。長く音を伸ばしてみたり、はっはっはっと大声で笑ったり(水戸黄門笑いと名づけているそう)と様々。実際にやってみると、これは中々体力を使うものだと実感。


何回聞いても感心してしまうのが、音楽と記憶の密接さだ。曲を聴いたり歌ったりすると(その人にとって)決まった思い出話が必ず語られるのだそうだ。楽しかった思い出、悲しかった思い出。時には涙を流すことも。そのように回想させるのだそう。私にもそのような曲があるのだろうけれど、まだ余り意識が無い。もっと年齢を重ねたら、私にもそのような曲が出来ているのかも知れないなあ。


難しいと思うのは選曲だ。私達は、現在ホームに入られているような方々が好んだ歌を知らない。私が知っている、古いと思う歌は「りんごの歌」位だ。唱歌も弱い。そのような曲が実例として出てくるのが楽しい。数曲コード付の譜面が配られたから後で弾いてみよう。


音楽療法士と日頃ケアをする人、言語療法士などが連携をとり(対象者についての)情報交換をすることで、より効果的にケアをしていけると思うのだけれど、という言葉が、講師が日頃感じている苦悩を表していた。音楽をかけると暴れずにお風呂に入ってくれることを知っていたら、ケアする人は少しラクになるのに知らない、失語症の人でも歌はすらすらと歌えることがあることを知っていればリハビリが効果的になるかもしれないのに、と。別々ではなくて、一緒にやることがあってもいいと思うのですけれどね、とも。


二日目の今日は、実際にいくつか歌ったり、実際のセッションの様子をビデオで見たり、使用している打楽器を触ってみたり、ハンドベルをやってみたりした。実際に歌ったり演奏したりは楽しい。


今回も受講者の大半は、実際に施設でケアに携わっている方々だ。単なる好奇心で参加している私にとっては、現場における悩みがどのようなことなのかが興味のあるところなのだけれど、中々そのような質問が出てこないのが残念。


音楽療法士になるのは中々大変そうだ。なってからも5年ごとの更新が必要とのこと。今すぐに自分がどうするかを考えるのは正直難しいなあ。

(追記)聴覚障害者へも音楽療法のセッションを行うそうだ。その際は音を振動として感じさせるとのこと。