ねこの日々 - ブログ版

趣味のフルートのことや愛猫のことを、たま〜に呟きます。

演奏会の裏の話

折角なので、演奏会の聴衆からは見えない裏のお話などを。


開演前はとても慌しかったのだ。リハーサルが押しに押して、少々の不満を抱えつつも時間の都合でリハを終了したのが、なんと開演時間の45分前で、開場15分前という時間だった。開演までにやらなければならないあれこれを思い浮かべて、心の中でうわーと呟いてしまう。


控室に楽器等を置いたあと、まずは監督を担当しているオシゴトの具合を確認しに行く。何事もないことに安心しつつ、開演後の指示をして控室へ戻る。


お昼を食べずに本番に臨もうかと思ったのだけれど、控え室へ入ると皆なんだかのんびりと食べている。どうしたらそんなに落ち着いて食べられるのかが不思議だったのだけれど、とにかくお茶くらいは口にしようと思っていたら、パートの人が私のお弁当とお茶を用意してくれていたので、ありがたく口にする。しかし、どうにも落ち着かなくてご飯3分の1程度で食べるのをやめてしまった。揚げ物のおかずなどは、もはや口にしたいとも思わない。お茶を飲み干して、ごめんと謝りつつ食事の和から抜けて歯磨き。


歯磨きから戻ってきて着替ようと思ったのだけれど、まだ食事中の方が多いのでお手洗いで着替えようと思い、衣装を手に控室を出た。そうしたら休団中の方とばったり会い、挨拶をしたら「母子室*1が開いていなくて、会場係りの高校生に尋ねても分からないみたいだった」と聞き、大慌てでホール事務所へ駆けていった。ヒールの靴を履いていたけれど、あまりに不自由だったので、控室前の廊下に靴と衣装を置いて、ストッキングのままで走っていった。開場直前の時間で、入口にはお客様の列が渦を巻いている。その中をすり抜けて事務所へ行き、母子室を開けてもらえるようお願いして、ホールスタッフが鍵を手に動き出したのを確認して、控室まで走って戻る。演奏前に走るだなんて、本当はやってはいけない。でも、そんなことを言っている暇はなかったのだ。しかし、このことは、あとから少し悔やむこととなった。


戻ると廊下に困っていたその方が居たので、母子室を開けてもらうようお願いしてきた旨を伝えて衣装などを手に控室に入る。さすがに食事の和は殆ど解消されていた。大慌てで羞恥心などどこ吹く風状態で着替えてから、リハーサル終了後からおきっぱなしだった楽器のメンテナンスをして、隣の部屋へチューニングをしに行った。この時点で開演10分前。


チューニングを済ませて、チューニング部屋を出たところで、定刻開演の知らせを受ける。そろそろステージ袖に入るようにとのお達しが飛ぶ。


そこで、コンタクトレンズを入れ替えていないことに気付いた。目を見開く習慣があるためか、演奏会前に新しいレンズ*2に入れ替えないと、乾燥等でレンズが浮いて見えなくなってしまって本番中慌てた経験があるのだ。なので、最近は必ず本番前にレンズを入れ替えることにしている。


大して時間がかかるものではないから、近くに居た人にお手洗いに行く旨伝えてレンズを交換しに行った。控室に戻ったら、ほとんどの人は袖へ移動していたので、いそいそと移動する。袖でちょっとバカ話などをしていたら、ステージと袖を区切っていた扉が開いた。さあ、本番だ。

*1:幼い子供と一緒に入ることのできる、ホール客席とは空間を隔てられた部屋。子供が騒いでもホール内の聴衆への影響は出ない。造りはホールによって異なるが、本日の会場はホール客席とガラスで隔てられているので、聴衆と同じ景色を見ることができる。

*2:使い捨て