ねこの日々 - ブログ版

趣味のフルートのことや愛猫のことを、たま〜に呟きます。

シンデレラ

 新国立劇場3階席2列目中央付近でバレエ「シンデレラ」を観劇。シンデレラを観るのは2回目か。シンデレラはゲスト・プリンシパルのアリーナ・コジョカル、王子もゲスト・プリンシパルのフェデリコ・ボネッリ。演奏は東京フィルハーモニー管弦楽団
 物の本によると、シンデレラの振り付けには、アシュトン版とヌレエフ版の2種類あるそうだが、本日のはアシュトン版だ。アシュトン版の特徴は、シンデレラの義理の姉達を男性が演じるという点だ。男性が女装するついでなのか、メイクも衣装も面白いことになっている。志村けんのバカ殿並なのだ。更にやることなすこと笑いを取るようなものになっている。
 不覚にも第1幕は眠ってしまった。ここでも面白い場面は沢山あったはずなのに。ということで、2幕目からの感想を。
 2幕目は、お城でのダンスパーティの場面。まずは、シンデレラの義理の姉達が笑いを取り捲る。以前に観たシンデレラよりもコミカル振りに輪が掛かったようだ。自己主張の激しい上の姉と、やや気弱で人見知りをする性格で上の姉にいいように引きずり込まれる下の姉との対比あるやり取りが面白い。笑いの見せ場では客席から笑い声が聞こえる。
 やがてシンデレラが登場し、王子と心がだんだん通じ合い、惹かれあう様が感じられるダンスが続く。そして12時の鐘が鳴るのだ。12回目の鐘が鳴った瞬間に、美しいドレスから元のボロの服に戻ったシンデレラが大広間から駆け抜ける部分の変わり身が見せ所の一つ。上から見るとちょっと仕掛けが分かるけれども、中々面白い。そこで2幕終了。
 休憩を挟んで第3幕。ガラスの靴を持った王子一行がシンデレラの住む家へやって来てすったもんだの挙句、王子とシンデレラが再会し、場面転換の後結婚式を挙げる様子が繰り広げられる。ここで、義理の姉達を男性が演じる醍醐味がある。どう頑張っても靴を履けないのだ!観ている方が「姉にその靴は無理無理」と笑いながら納得できてしまう。
 それにしても、こんなに笑いを取るような話だったかしらと疑問を感じてしまうほどの分かり易いコミカルさを含むバレエは余りないのではないだろうか。バレエは難しくて堅苦しそうという理由から観劇を敬遠しているような方に是非観ていただきたいお勧めの演目だ。カーテンコールでも何度も笑えるのだ。

音の聞こえ具合

 今回の3階席では、弦も管も同じようなバランスで、違和感無く自然に聴こえた。前回の2階席(白鳥の湖)での聴こえ方と比べると、曲や作曲者による相違もあるだろうけれども、それ以上に場所による違いが大きいのではないかと感じた。なおシンデレラの作曲者はセルゲイ・プロコフィエフである。

観劇マナー

 2階席以上では、前の列の人が身を乗り出すと、その後ろの人は舞台がさっぱり見えなくなってしまう。例え子供であってもだ。体験すると非常に分かり易い。
 ただ人は普通に座ると、背中を背もたれにつけても頭まで背もたれに沿わせることはなく、大抵少し前にかしいでいる。座高の高い人では、その程度のかしぎでも後方には大きな影響を与える。新国立劇場の椅子の背もたれは高く作ってあり大抵の人は背もたれ内に頭まで納まるのだけれども、本日私の前に座っていた方は身長があるためか背もたれから頭が出ていた。ごく普通に座ってらして頭が自然な前傾姿勢だったのだが、そのために私は舞台の3分の1が見えなくなってしまい、頭を左右に傾けながら覗き込むように観ることとなってしまった。背もたれに頭をつけるような姿勢を意識して座るか、腰を前に少しせり出すように座って欲しいとお願いしたかったのだけれども、それは居心地のよろしくない不自然な姿勢であるため、言うのを我慢してしまった。
 ざっと見渡したところ、本日の2階席の私の周辺の前列の方々は身を乗り出している姿勢が多かったように思う。恐らく後方席から苦情が来たのだろう、2幕目開始前に、劇場スタッフから「身を乗り出さないように」と忠告があり、休憩終了間際のアナウンスでも周囲への気配りをお願いする旨のコメントが流れた。前かがみ姿勢はマナー違反であるということは誰かに教わらないと知ることができないかも知れないが、それにしても今回は多すぎのように感じた。
 ちなみに、頭を背もたれにつけるような姿勢にすると、舞台が余り見えないような気がするのだけれども、実際に試してみると、問題なく舞台を一望できるのだ。
 1階席では観る時の姿勢についてはシビアではない。背の高い方やお子さんのいる方は、1階席を確保する方が良いように思う。1階席の値段は2階席以上よりも高いけれども、やはりそれだけのことはあると思う。

新国立劇場のプログラム

 プログラムは1部800円で販売されている。各回毎の演目の簡単なストーリー紹介、関連する踊りについての歴史や作曲者及び曲の解説などが分かり易く丁寧に書かれている。別冊でダンサーや演奏者に関する情報もある。200円で別冊のみの購入も可能。
 ここ数回のストーリー紹介では、フルカラーで数多くの写真が使われていて、まるで絵本のような印象を受ける。簡単なストーリー紹介とはいえ、絵本程度に、そして絵本のような文章で書かれている。漢字にはふりがなが振られているので、子供も馴染み易いのではないかと思う。私は最近はプログラムを眺めるだけでワクワクする。