ねこの日々 - ブログ版

趣味のフルートのことや愛猫のことを、たま〜に呟きます。

くるみ割り人形

 これで3度目の観劇となるくるみ割り人形。マーシャは宮内真理子、王子は山本隆之、ドロッセルマイヤーはマシモ・アクリ。調べてみた所、宮内さんはライモンダで見たことがあるようなのだけれども、残念ながらこれといった印象がなかった。なので、大きな期待を持たずに行ったのだけれども、非常に可愛らしいマーシャだった。少女の雰囲気が終始漂っていた。それが何に由来するのか分からないけれど、仮に酒井はなさんがマーシャを演じたら、精神年齢が実年齢よりも高い少女になるのではないかという気がする。踊りが稚拙という意味ではなく、可愛らしい雰囲気をまとい続けたまま踊っていた。王子役の山本さんはいつものようにスッキリとした踊りだった。そういえば、ドロッセルマイヤーは3回ともアクリさんだ。私は彼以外のドロッセルマイヤーを想像できない。

 ステージは昨年改訂された休憩1回の版。パーティから人々が帰り、背景を兼ねた幕が上がったら夢の世界になってしまっているのだけれど、夢の場もそれまで居たパーティの部屋なので、それが夢であるということが分かりにくいのだ。クリスマスツリーがドンドン大きくなり(マーシャの体が小さくなり)、仕舞われていたお人形が座っているけれど、子供が見て果たしてそれが夢であると気付くだろうか。なんとなく無理がある気もするし、この版はあまり好きになれないなあ。短縮版にした理由はわからないけれど、運営、経営上の都合かと想像してみたり。観ているうちに、元々の休憩2回版をどうしても見たくなってしまって、帰りにそれと思しきDVDを購入してしまった。

 今回の音楽は概ね踊りのテンポだったように思う。ただ、人形が踊る場面の速度はもう少し遅くてもいいのではないかという気がする。前回も感じたのだが、踊るにはテンポが速いのか、人形らしさがやや欠けてしまっているように見えるのが不満なのだ。

 チャイコフスキーの曲は好きなのだけれども、今回もとても楽しんで聴いていた。場面に合っているんだなあ。大人たちが踊る情景、子供達がはしゃぐ情景。何よりも、ヒロインとヒーローの思いが通じ合った時の幸せを表すハーモニーは他の作曲家の曲とは異なる独特なものに感じられて、耳に入った瞬間に涙が出てきてしまうのだ。能天気に明るいのではなく、それまでの苦労の末得た希望とも言うべき明るさで、どことなく重たい記憶が残っているように感じるハーモニー。演歌の持つ泥臭さ、暗さみたいなものを、特にチャイコフスキーの曲に感じるのだが、これが日本でチャイコフスキーが好まれる理由の一つではないかと考えているほどだ。ちなみに、今回の演奏は東京フィルハーモニー管弦楽団による。

屈んじゃダメ

 今回は3階最前列に陣取ったのだが、同じ列に子供さんが何人かいた。大体人並みの身長である私でも、前にある手すり等で、ステージの客席に近い部分は見えないところもある状態。頭を前にかしぐと後ろの人の視界を邪魔することになるので、気持ちとしては背もたれに頭を付けるようなつもりで座っていることが必要(このことは最後列を除く席なら皆同じ)。背の低いお子さんなら、もっと見えにくいだろう。その為に厚みのある座布団を会場が貸し出してはいるのだけれども。そのため、お子さん達が椅子から身を乗り出して、手すりの隙間から見るような感じの体勢をとってしまった。それを並んでいる親御さんも注意しなかった。きっと親御さんは、それがどういうことになるのかを知らないのだろう。後方の席に座ったことがないのかな。
 2幕目が始まる直前に、後方の席から、見えないから屈まないでという叫び声が響いた。やっぱり、そうだろうなあ。これは経験してみないとわからないんだ。
 新国立劇場は、チケット購入時、席の指定はブロック単位だけで、好みの席をピンポイントで指定することが出来ないのが残念といえば残念。上の階の席でも最後列だったら身を乗り出すことは可能なのですが。だから、お子さんの居る方で、お子さんにのびのびと鑑賞させたいと思うならば、頑張って一階席を取るか、2階以上ならば横側の席を取るといいのではないだろうか。一階だったら体を乗り出すことなくよく見えるし、2階以上の横側の席は一列しかないし、身を乗り出しての鑑賞を前提としているようなので、思う存分身を乗り出して見ることができるので、お子さん向きではないかと思うのだ。
 どうしても上階が良くて最後列以外になってしまったということであれば、椅子に座るのではなく、むしろ床に座るような感じで、手すりの間から見るようにするといいのだけれど、会場スタッフが許してくれるかしら。背もたれの高さの範囲内で前に出ないようにすれば問題はないのだから。

パンフレットリニューアル

 私が新国立劇場に来るようになった当初のパンフレットはごく普通の1冊の冊子だったが、ここ数年は、ストーリーや時代背景などを解説した部分と、出演者や演奏者の情報を載せた部分とは分かれていて、後者だけを購入(\200)することもできた。が、今回のパンフレットは、1冊の冊子に戻っていた(\800)。分かれている時に演奏者等の情報部分だけを購入する人が多くて、収益がよろしくなかったのかしらとか、要らぬことを考えてしまう。しかし、本当に資金に問題があって、それが演目やその質に影響が出るというのであれば、ごくごく微力ながらも友の会に入ろうかしらとか考えてしまった。
 表紙の色がこれまでの黒ベースから一転して白いものに変わった。白も案外悪くないですね。