ねこの日々 - ブログ版

趣味のフルートのことや愛猫のことを、たま〜に呟きます。

新作・白鳥の湖

 新国立劇場へバレエ「白鳥の湖」を観に行ってきた。これまで新国立ではセルゲーエフ版の白鳥の湖が上演されていたが、この度新国立劇場オリジナルができあがり、本日がその初日上演だったのだ。そのためか、ロビーに居る人がいつもよりもずっと多いように感じた。

 シートは2階席5列目の真ん中辺り。二階席は初めて。5列目は最後列となるので、後ろの人へ気遣う必要がないのは気が楽だった。前に座ったおば様は座高の低い方ではあったけれど、時々身を乗り出して観ていたので、そうされるとおば様の頭で割と広い範囲でステージが見えなくなってしまうため閉口した。気持ちは分からなくはないけれど、二階席以上で身を乗り出して見るのはマナーに反するし、本当に後ろの人が見えなくなるので、頭の片隅に入れて欲しいなあと思いつつ見てた。

 音について言えば、管と打楽器の音がものすごく飛んでくる場所のように感じた。弦の波から浮き出てくるように音が飛んできて驚いた。1階や3階ではもっと混沌として管も弦も同じ程度の響き具合だったように記憶しているのだが、これは奏者が原因なのだろうか。ちなみに本日の演奏は東京フィルハーモニー交響楽団だった。

以下ネタバレします。


 オデットが人間でありロッドバルトによって白鳥にされてしまったことを示すプロローグが追加され、舞踏会のシーンではロシアの踊りが追加された。ロシアの踊りはソロなので、主役以外の大きな見せ場となる場面となった。その他については、解説によると、背景などは敢えて時代考証をしなかったそうだ。古い時代なのだなと思う作りではあったけれど色調がやや明るく、軽さを帯びたものとなっていて、これについては好みが分かれそうだ。本日観たものでは、ロッドバルトにもっと「邪」が欲しかったと感じたのだが、もしかしたら衣装の色合いが影響しているのかも知れない。

 とはいえ、オデットが白鳥にされた場面、最後に王子と瀕死の白鳥のオデットがロッドバルトと闘う場面では涙をこらえながら観ていた。最近涙腺の弱い身には辛い。その一方で、オディール(オデットに化けたロッドバルトの娘)に求婚するも騙されたと知った時に、王子は母の元に寄って崩れるのだが、それを見ながらいつも「ママー」と心の中でアテレコしてしまう。

 コール・ド・バレエがとても美しかった。上の席から見る醍醐味は、コール・ドの並びを観ることができることだろう。

 オデット/オディールを演じたスヴェトラーナ・ザハロワさんは、腕が長いのがとても印象的だった。背もあるようで、爪先立ちすると王子役のデニス・マトヴィエンコ氏よりも頭が出てしまっていたのが、なんだか微笑ましかった。他のバレリーナのも観てみたいなあ。