ねこの日々 - ブログ版

趣味のフルートのことや愛猫のことを、たま〜に呟きます。

マリー・アントワネット

 土曜日のその日最後の上映(20:50〜)で席の4分の1程度が埋まっていた。これは多いのか少ないのかが謎。

 少なくとも私は今の時代に生まれてよかったよ。あの頃の歴史を知っていると、色々とより面白く観れたのかもしれないけれど、そのままでも楽しめた。

(2007.02.04追記)
 この映画の撮影は、本物のヴェルサイユ宮殿が使われたそうだ。昨年GWにヴェルサイユ宮殿を訪れた時は、王妃が出産をする部屋は調度品を含む部屋まるごとを保護するために薄暗く、フラッシュを用いたカメラ撮影もライトを照らしてのビデオ撮影も禁止されていたので、あの部屋のカーテンを開けると大変に明るい部屋であるということに映画を観て驚いたのだった。その他の部屋も、人々があのようにいたのかとか、あのように行事が執り行われたのかと言う点で大変興味深く観ることができた。それにしてもフランス政府太っ腹だなあ。(追記ここまで)


 以下は観る予定の無い方か既に見た方、どうぞ。(最後に追記あり)
 「マリー・アントワネットって強いな」というのが一番の感想。日常は辛い思いもしていて、色々とそれを紛らわすあれこれ(ギャンブルや徹夜しての遊びや、プチ・トランでの日々)をしているのだけれども、側近に逃げることを勧められても、民衆がヴェルサイユに押しかけても、それでも夫の傍にいることを選ぶことを宣言する姿は凛としていた。
 嫁入りが14歳の時。オーストリアとフランスの国境に設けられたテントで、なにもかも…お付の者もペットも下着まで…を取り上げられてしまう。オーストリア側にいた時は、まだ愛らしい少女の雰囲気を持っていたのに、テントに入り、着替え等々を済ませてフランス側に出てきた時は5歳ほど年を取ったように見えたのは、服装や髪型のせいだけだったのだろうか。ヴェルサイユでも始めは「オーストリア女」とさげすんだ目で見られるが、確かに少なくとも生家から出てきた時の服装はフランスの華やかな衣装と比べると田舎っぽさが感じられた。

 とにかく、世継ぎを得ることのみを、生家からも婚家からも求められ(政略結婚だから生家にとっては非常に重要なことだ)、それが叶わない中、先に夫の弟夫婦に男子が生まれた時のアントワネットの悲しみようは見ていてつらかった。映画では、夫、後のルイ16世にその気が起きないからという描写だったのだけれども、14歳の少女にその気が起きるのは現代では異常に分類されるのだけれども、当時は当り前のことだったのだろうか?別にルイはアントワネットを嫌っているという風には見えず、出来る限り彼女が暮らし易くなるようにする優しさも持っていた。って、結婚当時のルイは15歳だったのか。最初の子が出来るのが、その7年後だから、ルイとアントワネットは、なんかとても当り前の人たちに思える。

 数多くの目としきたりに縛られ疲弊するアントワネットのために、逃げ場としてプチ・トランを造ったのは、ルイの精一杯の愛情だったのだろう。そこに入り浸り、まるで村人のような暮らしを送る彼女を周囲の非難から守っていたのだ。結果として二男一女に恵まれる(が、次男はすぐに亡くなってしまう)(訂正:マリー・アントワネット - Wikipediaによると二男二女に恵まれたそうだ。ただし、次女と長男は死亡する。映画では時期等々がはっきりと分からない。子供が生まれてなくなるという事実だけが分かる)。宮殿に民衆が押しかけた時も、身を挺して妻と子供達を守ろうとする意志を強く感じられた。

 最後の影像は心臓に優しいものとなっている。ヴェルサイユから離れる馬車の中で宮殿を見つめているアントワネットで終わる。

 その後のスクロールの音楽は、しばらく不安と衝動を感じさせる音楽が続き、それから、子供の頃を懐かしむような、慰めるような鎮めるような音楽に変わった。それは、その後のアントワネットを暗示しているかのようで、ただただ文字の流れる画面を見ながら涙が出そうになった。観客の大半は、部屋の電気がつくまで固まったように座っていたのだが、皆同じような想いだったのだろうか。

 映画内では、アントワネットと直接関わる人たちは英語を話しているのが、なんだか不思議だった。後半では、周囲の人たちの言葉にフランス語が混じってくるのだが、それは、アントワネットがフランス語を理解したということを示しているのかしらと感じた。そもそも、嫁いですぐの頃、言葉に不自由はしなかったのだろうか?というのが、観ていて唯一の最大の疑問だったのだが、どなたかご存知の方はいらっしゃいませんか?

(2007.02.04追記)
 マリー・アントワネット - Wikipediaによれば、結婚前にフランス語の習得に取り組んだようですね。それにしても、これを読むと、私が強さと感じたのは、ただの無知だったのかしら…と思いました。