ねこの日々 - ブログ版

趣味のフルートのことや愛猫のことを、たま〜に呟きます。

「そつがない」は褒め言葉か?

仕事関係の私を入れて数名で、しかし珍しいとも言える面子の組み合わせで飲み食いしつつ話に出たこと。

Sさんが突然に言う。「不器用って強いですよね」と。どういうことを言っているのかが分からなくて一瞬キョトンとしたら、説明するように話しを続けた。
「10年同じ分野のことを続けたらプロフェッショナル(周囲からもそのような扱いを受けることも含めて)じゃないですか。でも、同じ10年の間にいろんな分野を渡り歩いたら、その域にはなかなか達せない。器用にあれこれできると、渡り歩くことになりやすいけれど、それってなんだか損だよなあと思うんですよ」と。Sさんは分野違いでの異動を経験されているクチで、それについて感じていることのようだった。私自身、なにかと言えば出向になったりするために、職場内での立ち位置を見つけられず悶々としているところでもあるので、なんだかその気持ちが自分の胸の内を吐露してくれているようで、ああ、なんだかそれ分かりますと呟いてしまう。通して同じ分野に携わっている人には、この気持ちはなんだか分からないぞという顔をされる。

そんな会話をしたのだとダンナに話すと、ダンナがそうかねぇと首をひねる。ダンナは幸いにもこの10数年ひとつのことを追求しているクチなので、君にはわかるまいと私は心の中で呟く。
ダンナの言い分はこうだ。「たとえば出向者を受け入れる立場から言うと、その出向者の評価がそのままその人が所属する会社の評価になるんだよ。逆に出向者を出す立場から見ると、そうなることが分かるから、人選には気を使うはず。器用にそつなく出来るのも貴重な能力だよ。」

言いたいことは分からないのでもないのだけれど、なんというか、Sさんも私も軸が欲しいのだと思う。自分の軸の根を張れるものを持った上で枝を広げたいのだと思う。

頭の良い人ならば、10年であちらこちらを渡り歩いても、それぞれにおいて専門家と言えるレベルに達することができるのだろう。残念ながら私の頭はよろしくないので、それも望めない。となると、やはりある程度まとまった時間、腰を据えて分野としてひとところにとどまっていたいと思う。

実際には、そういう軸のできてしまった人に、その人の軸の分野の仕事が渡され、行き場に困ったものが私の所へやってくるという流れになってしまっているので、なんだか落ち着かないことになっている。あるいは、軸のある人のサブのような扱いで作業に携わることも多い。サブにはサブの役割があるので、それはそれで構わないけれども、報われないと感じることがそれなりにあるのだ。また、その仕事に関することが分かってきて面白さを感じ、追求したいことが出てきた頃合いに、別の仕事に回されることも少なくない。まるでおもちゃを取り上げられた気分。これを何度も味わう。

そのような役回りになるのは上司いわく「そつなく仕事するから」なのだそうだ。私に「そつない」という評価をしているのは本心であるのかをまず疑うのだが*1、仮にそれを真としても、果たして「そつない」は褒め言葉であるのか疑問に感じているこの頃。

*1:あまり良好な関係でもないので