ねこの日々 - ブログ版

趣味のフルートのことや愛猫のことを、たま〜に呟きます。

ジゼル

 友人の「ロマンティックバレエの代表作だよ」の言葉に誘われて新国立劇場へ。物語はとても分かり易くて短く、二幕形式なのだが時間は一幕、二幕共に50分。ジゼルのあらすじはこちら(Wikipedia)

 この日のプリマはさいとう美帆さん。プリマとして踊るのを観るのは多分私は初めてだと思うのだが、空気を動かさずに踊る人だなあと感心して観ていた。友人のひとりは「厭な風を起こさない人だね」とか「優等生の踊りだね」と評していた。この話には、ショックで気の狂ったジゼルが出てくる。胸を締め付けられるような表現なのだけれど、以前に他のプリマで観たことのある友人はもっと狂って欲しかったなあと言っていた。とはいえ、今回はどの踊り手も良く、どの踊りも良く、どのリフトもピタッと決まっていた。ウィリの女王であるミルタの冷たさには、その度に背中がぞくっとした。途中途中の拍手が多かったし、最後のブラボーの声は、私がこれまで観た中で一番多かったように思う。踊りのよさから、すっかり話に引き込まれてしまい、各幕の終わりごろは涙を浮かべながら観ていた。

 一幕の音楽は単調で眠気を誘われたのだが、二幕はソリスティックなものが多く、メロディが物悲しく美しくて音楽にも心を奪われた。また、踊り手と音楽の息が良く合っていた。

 一幕と二幕の間の休憩時間に、飲物を飲みながら何気なく集まった友人達の話を聞く。音楽の点からの感想、踊りの点からの感想、人それぞれの視点からの感想を聞くのは面白い。

 チャイコフスキーによる音楽のバレエよりも前の頃の、いわゆる古典バレエなので派手さがないのだけれど、その落ち着き具合が心地よい。また公演のあった時には観たいなあ。これで今シーズンの演目は終わり。秋の次シーズンまでバレエ観劇はお休み。